コロナ5日目~縦の糸はバナナ横の糸はタワシ~
寝すぎたのか、軽い頭痛と手足の熱さが気になる寝起き。
携帯が鳴る。
今の携帯は有能で、発信先の場所まで通知される。
千葉県木更津から……
オマエダレヤネン( ・᷄д・᷅ )←知り合いのいない私はこんな感じの反応をする。
1度目は、出ずに置いたが、すかさず2度目が鳴るので出てみた。
警戒心が強い私は知らない番号のコールは
だいたいこのパターンだ。
用事があるのなら、かけ直すか留守電になるはず……
今はどこからどんな電話が入る分からないので気が休まらない。
「はい」
「あ、○○さんのお電話ですか?」
「違います🙅♀️」
間違いかーい!!
2回も間違えたの?
1回目にかからなくて番号確認しなかったの?!
朝9時から、世の中は忙しいようだ。
なんだか取り残されたような寂しい気になる。
中学生は手慣れた様子でオンライン授業を受ける準備
高校生は携帯でオンラインホームルーム中
小学生はタブレットのパスワードのアルファベットと格闘していた。
相変わらず保健所からの音沙汰はなく
私の指先のパルスオキシメーターは97%から微動だにせず。
そんな私の頭の中に流れてきたのは「糸」
ついついふざけたくなり
「たーての糸はバナナー、よーこの糸はたわし〜」と
即興の替え歌を歌っているとSpO2は95%まで下がり
のど自慢で鐘が2発で終わる出演者かのような空気と
それを見守る冷たい視線を感じるのであった。
病人は大人しくしろということか。
何気なくインスタを開くと、
学生時代の友人が写真をアップしていた。
彼女は学生の頃から優秀で、今はハングルの勉強をしているようだ。
社内恋愛で結婚したが転勤が多いグローバルな会社であるため
1〜2年で引越しを繰り返しておりなかなか会えないでいる。
彼女の字を見ていると、学生時代によく手紙をやり取りしていたことを思い出す。
授業中にノートの切れ端に手紙を書いて、回す。アレだ。
彼女にそのコメントを残すと、すぐに私だと気づいた。
当時の思い出話に花が咲く。
その時、ふと思い出した気がする。
就職し、結婚し、子供が生まれ、仕事を変わり……
紆余曲折を経て今の時間がある訳だが
こんなにゆっくりと時間を過ごしたことは無かった。
自分を振り返って、考えることも滅多にはできなかった。
ただ、前に進むこと、がむしゃらに仕事をこなすこと
それだけで精一杯だったこと。
人と比較して自分の価値を考えてしまい卑屈になる
そんな日々を重ねていたということを。
年齢的にも若くはない。
ただ、先も短いとは限らない。
だから、生命力を回復させたら、仕事人としてだけでなく
これからの「私」を生きようと思った。
人と競うとか、比べるとかは、そろそろもういいやって思うことにして。
こんな事を考えることが出来たのもコロナがくれた時間が与えてくれたものだと思った。
ピンポーーーーン
荷物が届く。今度の箱はめちゃくちゃ軽かった。
しかし、その中には、私を支えてくれるかけがえのないみんなの愛が詰まっていた。